本県のゲノミック育種価の現状について

これまで、多くの方々がゲノミック評価(育種価)に申込をされました。一方で、特定の種雄牛のみがゲノミック育種価が高いのではないか、鹿児島県の繁殖雌牛のゲノミック育種価は低いのではないかという質問もあります。

そこで、現時点でゲノミック評価が終了した繁殖雌牛の脂肪交雑、枝肉重量、ロース芯面積の3形質について、H、A、B、C、Dのランクごとに割合を調べてみましたので、少し説明いたします。

その前に、本県で子牛セリ市名簿等に表示されている育種価のランク表示と、ゲノミック育種価のランク表示に若干の違いがあることを理解する必要があり、Hランクについては、本県の場合は上位1/8、ゲノミック育種価は上位1/10です。言い換えれば、ゲノミック育種価のHランクの方が、本県よりもさらにトップ集団であるということです。
ただし、本県の繁殖雌牛の集団のレベルと家畜改良事業団の集団のレベルは、全く同じではないと推測されるので留意が必要です。

まず、脂肪交雑ですが、ランクごとの割合は下図のグラフのとおりで、B(平均以上、上位1/4未満)が25.8%と一番多く、次いでC(平均未満、下位1/4以上)が23.8%、A(上位1/4以上、上位1/10未満)、Hが21.7%、D(下位1/4未満)となっています。特に注目したいのは、Hで上位1/10以上に21.7%もいることです。
このことは、本県の繁殖雌牛のレベルが如何に高いかを示しているのではないかと思っています。

次に、下図の枝肉重量ですが、同様に割合の多い順にみますと、Bが30%、Hが23.3%、Cが20.8%、Aが16.7%、Dが9.2%となっていて、ここでも、 Hの割合が多いようです。

最後に、ロース芯面積は下図の通りで、割合の多い順に、Aが31.7%、Bが、25.8%、Aが21.7%、Cが16.7%、Dはわずか4.1%で上位1/2以上が約8割となっています。

今回は枝肉6形質のうち3形質のみを調べてみましたが、上述のような結果で、本県の繁殖雌牛はゲノミック育種価においても能力が高いのではないかと思いますし、詳細は控えますが、調べた限りにおいては、特定の種雄牛に偏ったゲノミック育種価評価にもなっていないのではないかと捉えています。

勿論、データの数、その集団のレベルなど考慮する点もあるとは思いますが、ゲノミック育種価は、ご自身の牛の能力の把握、ひいては選抜、保留の目安となり得るのではと考えますので、参考にしてみてください。

目次